YOSHIDA Naohiroさんによる感想(邦画MLより)
YOSHIDAさんの文章には独特のスタイルがあり、それは改行の仕方も含むので、ちとメンドウだが原典通りの改行をしてみた。
--------------------------------------------------------------
●いよいよ東京国際映画祭が始まり、そのメイン会場の渋谷東急文
化村では外国人らしき姿もちらほらあって賑っていた中、その向
かいのシネ・アミューズでひっそりと上映されていた「バウンス
koGALS」を見た。原田眞人監督作品。
●入りは大変悪い。30人程度かな。ガラガラ。
●この作品を見ようと思ったのは、朝日新聞のニュースで、援助交
際、ブルセラなどを取り上げていたためにR指定になったが、監
督らの運動によってR指定を解除されたと読み、こりゃどんなも
んだろうと思ったため。つまりはかなりエッチな期待があったか
もしれない。いや事実あった。
●しかし見てみると、そもそもこれをR指定にしようと少しでも考
えるなんて指定する人は気が違っているとしか思えない。それに
解除して貰っても実質あんまり意味ないような。つまり、こんな
もの見ているコギャルはいません。高校生3人以上は1,000円とか
いう特別割引制度を設けているのが虚しいばかり。
●団塊の世代と言われるその親くらいの世代もまあいなくて、結局
私くらいのさえないオッサンとか映画好きだか暇なんだか良く解
らないようなカップルとか女性の2,3人連れとか良くも悪くもい
つもと変わりない客層です。
●映画祭期間だからなんか英語の字幕があって邪魔くさかったです。
外人なんか1人もいないのに。でも、暫くすると便利な使い方が
解って来ました。コギャル言葉でなんだか解らないものがあると
英語の訳を見るのです。すると意味が解るものもあります。ただ
へらへら笑っているだけみたいなところも訳が出ていて、はあそ
ういう意味で笑っているのかと解ります。
●ところでこの映画については「東京日和」の3倍くらい充実した
情報量のホームページがあり、私なんかが文句を言われるかどう
かとか気を使いながらストーリーとか紹介とかを書く必要もない
でしょう。
URL=http://www.pdci.co.jp/BOUNCE/schedule.html
●全体的な感想としては、良く言えば社会派、青春ものとして感動
的、現代の世相を良く取材している、という感じですが、悪く言
えば、説教臭い、類型的な盛り上げ方、などとも言えます。私の
普段の方針から行くと悪い方に見がちなんですが、でも、出てい
る子がかわいかったし、青春自立ものは水戸黄門の印ろうじゃな
いですが、やっぱりなんかこう正義というような感じがして、抗
えない共感を感じます。
●これは先行ロードショーで、まだ11/8には新宿ピカデリー2で舞
台挨拶があるそうなのでアイドルファンは行け。私もそっちに行
けば良かったよ。
サカイ注)MLのルール上、ここで十数行に渡る改行がなされているのだが、ここでは便宜上それを省く。
●まあホームページが見られない環境の方もおられると思うので、
ごく簡単に書きます。
●援助交際を仕切っているコギャルのリーダ的な存在のジョンコ
(佐藤仁美)はふとしたきっかけでヤクザの大島(役所広司)と協定
を結ぶことになる。暫くは援助しないという約束である。リサ
(岡元夕紀子)は親元を離れて自分の夢を追うためにニューヨーク
行きの計画を立てていたが、日本を立つ日も翌日に迫り、生活資
金などを作るため渋谷に寄った。そこで出演を決めたビデオの撮
影現場でそれまでに貯めた30万円を奪われてしまう。撮影現場で
知り合ったラクチャン(佐藤康恵)とリサはすぐ打ち解けた。取ら
れた資金分を一晩で稼ぐため、ラクチャンはジョンコに連絡を取っ
て頼み込んだ。大島との協定を結んだばかりのジョンコだったが…。
●ストーリーが解りやすいだけでなく、友情あり、団塊世代のヤク
ザとの渡り合いあり、一晩のタイムリミットがあるのでスリルも
あり、結構入れ込んで見られるでしょう。
●ただし話が解って来るまでの最初の方、10分か20分かはやけに退
屈だし、それ以降もなんか正論だけど疲れるみたいな話が結構あっ
て、これを面白いと思うのはやっぱりある程度部外者なんじゃな
いかなという気はします。
●つまり私とかですが、しかし考えてみると私なんか何をどう考え
ても社会的には一円の価値もないですが。非社会的な人格だもの
な。反社会的ですらなくて。
●しかし日経の記事にもありましたが、なんか団塊の世代と若者は
こう目的は違うけれども何かにかける熱意みたいなもので繋がっ
ているらしい。私ら新人類の世代は救われませんね、この映画で
は。
●例えばヤクザとジョンコが協定を結んだ時にカラオケでインター
ナショナルを歌ったりするのですが、私の世代だと学生運動とか
既に廃れてましたから、盛り上がれません。
●せいぜい我々世代はコギャルを買うという感じでしか登場しない
のだ。情けないがほぼ現実通りなのだ。これでいいのか。
●私なんかもやっぱりコギャルとどうのとか半分夢見ていたのです
が、あんなカラオケだけで10万とか払うものだったのか。医者で
も皇室でもないのにそんな金ありません。
●3人の主人公もちゃんと性格がはっきり分かれている。中ではやっ
ぱりリサがいい。岡元なにがしさんの見た目もいいが、役中人物
としていつも物事真面目に考えていて、話からワンテンポずれて
いるみたいな感じが好き。ジョンコは大人は敵と思っていて自分
の力で世の中見返してやるみたいな強さがある。君は偉い。しか
し怖い。ラクチャンは情にもろい。あんまり何も考えてないけれ
ども、容姿が良くて、ダンスとかも踊れるので、目立っていて人
気あるみたいな感じ。
●まあコギャルにとっては我々は敵らしい。この映画のコギャル同
志の会話を見ていると結構面白い。「何々」とか「解んない」と
か「ばかじゃん、それって」とかいうような無意味なフレーズが
多い。で、なんだか解らなくなると笑っている。主人公の3人の
会話からしてそうで、しかし3人はなぜかどこかで深い友情で結
ばれている。
●友情とはやっぱり外見と世代によるのか。
●これは映画で現実じゃないんだった。
------------------------------------------------------------------------
境です。
「もののけヒットの謎」に関していっぱいご意見ありがとうございました。質問をした責任上、まとめにはいります。みなさんの推理を集約して文章化してみると…
「宮崎駿ならはずれなし」のブランド力が(KAWASAKIさん、H.SUZUKIさん、清水さん、小雪さん)レンタルビデオで増幅されていたうえ(関口さん)「紅の豚」以来5年ぶりの劇場作品だったこともあり(後藤さん)、さらには「エヴァ」によりジャパニメーションの土壌もできていたし(やまわきさん)、日テレなどの大宣伝にもあおられ(関口さん、清水さん)、宮崎自身が精力的にプロモーションしたばかりかこれで最後とまで言ったので(後藤さん、KAWASAKIさん、関口さん、小雪さん)夏休みの子供連れ観客を動員し(後藤さん、小雪さん)寅さんファンの心さえとらえ(吉田さん)ヒットがヒットを呼び(KAWASAKIさん、関口さん)繰り返し見る人まで多く出た(堺谷さん)。そしてなにより力作だった(清水さん)。
あと、ご意見を募った責任上、自分でも考えたんですが、設定が「時代物」で、年配の人にも受け入れられやすかった、というのもあるとにらみました。「Shall weダンス?」も「失楽園」も、オジンやオバンの観客を呼んだのがヒットの要因だったらしいし。
しかしやはり「宮崎ブランド」のチカラが大きいんだなあ、とあらためて思いました。そして宮崎駿の名がここまで成長するとは、本人のがんばりはもちろん、ジブリの人々の努力のたまものなんだろうなあと。続けることが大事なんですね、たぶん。
あと、関口さんの指摘された「ビデオ」というメディアが与えた影響は想像以上に大きいんだろうなあとも思いました。「となりのトトロ」をビデオで観て今回劇場に足を運んだ親子連れなんて、そうとういるんじゃないでしょうか。「劇場で映画を観る」かわりとして申し訳なさそうに存在していたビデオは、いまや立派に堂々と、映画を支える誇らしい立場になっているのでしょう。
と、いろいろ納得はしてみたのですが、「しかしそれにしても」という気分もまだ残っています。この謎の奥にはあとひとつやふたつの要因はこっそりと隠れているような。
あと、皆さんの文章を読んでいるうちにまた別の質問をしてみたくなったのですがそれは別の日にでも。(とかあれこれ追求して何をしたいのだろうぼくは)
----------------------------------------------------------------------
境です。
一度まとめたつもりだったのですが、まとめからこぼした重要なことを言われ
た気がしましてもう一度まとめます。
At 7:27 AM +0900 97.9.30, 関口 恵津子 wrote:
>
>>この謎の奥にはあとひとつやふたつの要因はこっそりと隠れているような。
このぼくの「何か引っかかってるんだが」な想いに対して
> あの例の「生きろ」というキャッチフレーズですか。
>
そしてポスターではかわいい顔の女の子(宮崎アニメかわいい女の子典型顔)
> が口のまわりに血をつけて立っている。
> あれもセンセーショナルでしたよね。
> もう、クラリス顔の女の子も、頭にリボンつけて
> 甘えてるだけではだめなんだというような・・・
このお言葉は頭の中で渦巻いていたモヤモヤをしゅぱあーっと一掃してくれました。いや一掃はオーバーだな。謎と謎が符牒したような。そうですね、もはやクラリスはカリオストロのおとぎの国にひっこむしかないんですね。もうルパンみたいな男がさっそうと現れて助けてくれる世の中ではない。ブルース・ウィリスやスタローンは相変わらず誰かれかまわず助けてますけど。
あのポスターのことは見落としていて、でも重要で大切で注目ですね。口のまわりに血をつけたかわいい少女の絵。そんなポスターの映画に親子連れが殺到したわけですよね。10年前ならありえなかったろうなあ。よーく考えると、かなりヘンな現象ですよ。しかしああいうビジュアルだから殺到したというか。いや実際はあのポスターによって吸引された人が大量にいたわけでもないでしょうけど、でもそこには「もののけ姫ヒットの謎」の最後のポイントが象徴された上に集約までされている気がします。
で、その背景にはなんだかワイドショーの社会評論家のようではあるけど、やっぱり
> 殺伐とした社会現象(酒鬼薔薇、通り魔等)や
>
混沌とした世の中(大企業の不正など)のムードがこの夏、社会全体を覆い、
こうした世の中の空気が深々と関与していると言われると、うんうんうんとうなづいてしまいますわ。
>
アニメという一種のパラダイスと、「生きる」というテーマの物語に
> 多くの人々が感心を寄せたのではないかとも思いました。
「アニメという一種のパラダイス」(そっか、アニメってパラダイスだったんだ、そっかそっか)が、「頭にリボンつけて甘えてる」様式を捨てて「生きる」というテーマを片手に「口のまわりに血をつけて」世の中に挑んだ。その決意の凄まじさというかエネルギーみたいなものが「宮崎ブランド」をギンギンにパワーアップした。その神々しさの前では「ご好評につきまたもや恐竜が現代に登場いたします」ともみ手しながら上陸した「スピルバーグ印」なんて、てんで無力だったのでしょう。
なんというか、世の中が映画に求めているものが変わってきている気がするんですよね。もう、バキューン、ドカーン、ズコーン、やったー、だけじゃ納得しないぞと。もっとおれをヘビーな気持ちにしてくれと。いや世の中がとか人ごとのように言ってますが、なにしろぼくがそう思ってるみたいなんですよ。
以上、今度こそ、「もののけヒットの謎」まとめ、でした。