プロ野球を社会科する/第2回

中小企業が、嵐を呼ぶぜ。

〜C級球団の超ヒット商品、イチロー〜


去年のヒット商品と言えば、まずWINDOWS95。鳴り物入りで登場して、オジサンたちをおどし、パソコン全体の売上げにも大貢献しました。そしてイチロー。彼はWINDOWSと同じくらいの効果を野球市場にもたらした商品だといえるでしょう。しかもあちらは天下のマイクロソフトですが、こちらははっきり言ってC級企業のオリックス社からの発売。
いっときますが、親会社のオリックスがC級だと言ってるんじゃないですよ。あくまで、球界でのイメージがC級だったと。阪急以来の伝統があるとはいえ、やはり新興球団なわけですから。
逆に言うと、C級だったからこそ、イチローみたいな爆発的ヒット商品を産めたんじゃないかなあ。伝統ある一流球団だと、いろんなモンがしがらんじゃって商品開発力は落ちるでしょう。大きな組織は物量作戦は展開できるけど、新しい試みを通すためにはハンコいっぱいもらったり、おエラ方の抗争にもまれたりしなきゃならないんでタイヘンです。若々しい発想がすぐ息切れしたり窒息したりする。
つまり、オリックスとイチローがぼくたちに教えてくれたのは、「なんだC級企業だってチャンスあるんじゃん」ってことだと思うんですよ。伝統ある大企業より、新興の名も知れぬ会社の方に時代の風が吹いている、そのことの象徴じゃないかと。
さきほど登場したマイクロソフトだって、ほんの十数年前は海のものとも山のものともつかない会社だったわけで。それが今や「天下の」という冠がつくんですから。パソコン業界は新しい産業だからといわれりゃあそれまでですが、でも今いろんな業界がカオスに向かいつつある。さっき言ったような大組織の小回りの悪さは野球界だろうがパソコン界だろうが○○業界だろうが、どこにでもあてはまる状態になっている気がします。
あなたがもし、C級企業の経営者や管理職だとしても、「どうせうちには二流の人間しか集まらんわい」とぼやきながら下手なゴルフでウサはらしてる場合じゃないですよ。
C級企業は、オリックスをめざせばいいんです。きっとあるって、あなたの業界の西武のような存在をやっつける方法は。振り子打法のイチローみたいな部下がいたら矯正なんかせず、可能性を信じてのびのび振らせてあげればいい。今までの発想を突き破る部下は、今までの発想を突き破る上司がいないと生まれないんだから。
5年前、イチローみたいな選手がオリックスから登場するなんて、誰も思わなかったでしょう。あなたの会社だって、誰も思わなかったような存在に5年後になっているかもしれない。だからがんばってください、○○業界の未来のオリックスのみなさん、ね。


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