基本的な脚本の書き方(サスプロにむけ、微妙に内容を少しづつ増やしています。)
〜はじめに〜
脚本もテレビドラマ、映画、アニメなど様々なものの脚本がありますね。
しかし、どれも映像化されて初めて作品となるものばかりです。脚本のみ
が芸術的であっても、実際映像化したときに完成度が低ければ本末転倒
というものです。説明しすぎと思っても、脚本の段階であまり、はしょったり
しないのがアマチュアとしてはいいんではないかと思います。
また、面白い脚本を書くためには『月刊ドラマ』や『シナリオ』といった脚本
が載っている雑誌をたくさん読んで勉強したり、映画やドラマ、演劇などを
たくさん見ることがいい刺激になると思います。
自分も面白いといえるものは書く力はないのでアマチュアなのですが、お
もしろいものを書くためにはたくさん自分で書いてみることがいいみたいです
ね。オリジナリティーあふれる自由な作品に挑戦していかないといかんです。
映像ではなくラジオドラマの場合、情景を描写するのは全て音です。効果音
などで臨場感を出すことになるので、場面展開が激しいと、聞いているほうが
混乱したりしやすいので工夫が必要です。だからといって映像では場面展開
を多用した方がいいかというと、そうでもないみたいですね。長いシーンでドラマ
を展開させるのは難しく、話が詰まったら柱を立てて逃げるケースが多いです。
サテライトスタジオオープニングビデオ2001の脚本を見てみましょう。
ギャグなので、少し奇抜な脚本かもしれません。一部のみ載せています。
基本用語説明 |
柱の立て方 | 柱とは上の例のなかで初めに出てくる○印の部分で、場所・時間帯を表します。「○ ソ連アジト・中・夜」のような部分ですね。基本的に○の後にスペースを一文字空けた後、「場所」「必要ならさらに詳細な場所」「時間帯・昼や夜」などの要素を書きます。映像を作る人にとってはカメラを立てる場所を意味しているので、場所が玄関から中へ入ったならきちんと柱を建て直したほうがいいでしょう。新たに柱を立てる場合は上の例のように最後に一行あけるほうが読みやすいです。 |
ト書き | 状況や場所を説明する場合、柱を立てた後、ト書きで説明します。『と、振り返る敬三』のように書くことが多いのでト書きと呼ぶみたいです。もちろん映像にすることを意識して書かなければいけません。あまり形容詞や無駄な修飾語を書かないこと。 「午後二時の食堂」とか、「ドイツ製の腕時計をしている真二」などど書かれていても、それを映像で表現しなければいけなくなるわけで、二時をさす時計を移したり、腕のアップでドイツ製であることを強調しなければいけなくなりますよね。こりゃ相当意味が深くない限り違和感がある。それならば台詞で役者に言わせたほうがいいわけですな。一般に多すぎず少なすぎず、そのシーンや登場人物を説明する量にしたほうがいいみたいです。過不足なくね。 |
登場人物 | 初めに出てきたときたとえば、「自動販売機の前で立ち尽くす梶 聖子(25)」のようにフルネームと年齢があるほうがいいみたいです。柱が変わっていて「聖子をいぶかしげにみている少年二人、飯田涼(16)・島原時雄(15)」のような場合、「少年二人」が重要人物であれば、二人がだれかも書いたほうが無難です。でも、↑の例では「みんな」と略してありますね。。撮影に誰がこれるのか不明確でかつ、それでもかまわないシーンだったために略してあります。 |
ナレーション(N) | 初心者にありがちなのがN(ナレ−ション)などとつけて、その時の主人公の心理を主人公の台詞で表現しすぎること。『恵一N「これほど切ないと思ったことはない・・・」』などと書いてしまうよりも、ドラマで切ない恵一の心理を表現する方がぐっとドラマっぽくなります。あまり情景や状況の説明以外に多用しないほうがよいと思います。 |
シノプシス(あらすじ) | 人に脚本を見せる場合このようなものを400字から800字の範囲で書いて、表紙の次に載せたりするものです。一般に最初から事件を追っていき、最後か、オチが見せたくない場合は最後の直前まで書きます。人物関係などを字で把握しにくい場合に役に立ちます。自分で書いてみるとどういう話か筋が見えてくるので、書いてみるのもいい勉強になると思います。 |
ハコ書き | 脚本の書き方の一つです。あらすじを考える場合、起承転結などといった構成を考えたりしますよね。そんな時、30分も60分も映画なら120分も人間を飽きさせないようにするために、色んな事件やドラマを展開させなくてはいけません。そこで、書く要素を挙げ、起承転結などの順に要素を箱に書いていき、並べ替えてみたりしてあらすじを考えていきます。例えば、『起』では天地人(いつどこでだれが)を見ている人が分かるような要素を入れて、興味を引くような事件を起こしたりする。というようなことを考えて作っていくのです。私はたくさん書いて、構成も同時に考えていくタイプなのであまり得意ではないみたいです。でも、最初に無我夢中で書き出すのではなく、ある程度要素を並べておくという作業は後々話が載ってきた時に書きやすくて利用してます。 |
キャラをだすには? |
右に書いてあるような場合、このシーンに何の意味があるのか分かりにくいですね。意味を込めないで書いたので、正確に言うと意味のないシーンです。こういうシーンは飛ばして書かないようにしてください。 | 面白くない例 ○ 山の手書店・中 こじんまりとした店内。 レジ横に積んであるある漫画雑誌をレジに出す圭輔(22) 圭輔「すいません。」 店員「180円になります。」 ズボンの後ろポケットから財布を取り出し、小銭を渡す圭輔 店員「ありがとうございました。」 店をでる圭輔 |
よい例を書きたかったけど店員と圭輔の人間関係のないシーンで面白くないですが、圭輔がどんなキャラであるのか分かりますよね。おっちょこちょいで、うぶで、小心者。 | もう少しましな例 ○ 山の手書店・中 こじんまりとした店内。 キョロキョロと周りを気にしている圭輔。 目の前の雑誌を乱暴に取り、レジへ レジへその雑誌を乱暴になげだす。と、エッチ本である。 店員「いらっしゃいませ」 店員が女性であることに驚き、あわててレジ横の漫画雑誌 を上に載せる。 漫画をひっくり返しレジを打つ店員 店員「180円になります」 圭輔「えっ?」 きょとんとしている店員。 圭輔「いや、あの。これも・・・」 店員「はい?」 圭輔「あっ、いや180円ね。ちょっと待って」 と、ズボンの後ろポケットから財布を出そうとして小銭を地面に落とし てしまう。 圭輔「ああっ!」 |
具体的な例を挙げるとするならば、北野武監督のHANABIとかがいいでしょうか。主人公の男は決して優しい行動を取っているわけではない。むしろその反対。暴力的な男ということで話が進んでいきます。でも、普段が暴力的だからこそ、本当は優しいという感覚が伝わってくるんじゃないかな?人間は嘘つきなので、台詞に優しさをだして表現するよりも、HANABIのように芝居で表現するほうが説得力があるようです。台詞では逆のことを言わせて、芝居では妻思いの良い男を表現してやるほうが伝わりやすいんじゃないかな。あの映画はそもそも主人公の台詞が殆どないの で、台詞でストーリーを追ってしまう人には良い刺激になる話ですよ。 |
ドラマになっていないと面白くない |
シナリオを書いているつもりでも、映像にして人に見せてもなかなか共感してもらえないという経験をもっていたりしませんか?何故かといえば、それはおそらく見ている人に登場人物の気持ちやあらぶる魂が伝わっていないからです。どうしてなのか、自分が好きな映画や漫画でもいいのですが、今回はマスターキートンという漫画の一話を参考にしてみましょう。10巻chapter1 どんな話か簡単に説明します。とある男がいました。男はかつて世界中の子供たちからテレビのヒーローとして名声を得ていた男でした。しかし、妻の浮気相手に殺されそうになり、逆にその男を殺してしまいました。当然番組の放送は打ち切り。もうだまされるのはたくさんだと思うようになり、役者としての演技力を悪用して保険金詐欺に手を染めていました。詐欺が発覚し、ロンドンへ飛行機で連れて行かれる途中。飛行機は急にエンジンが爆発。さらに車輪故障によって胴体着陸することになると、機内は大混乱。これで逃げるチャンスも増えるかもしれないと考える男は、やはり考え直しました。ハイジャック犯の演技をし、乗客全員を席に着かせ、混乱も収まり、無事着陸することができました。 といった感じです。なんだかこれだけだと面白くない話だと思いませんか?やはり、男のドラマが描かれていないから面白さが伝わらないんです。原作を見ればよりいっそう違いが分かりやすいと思います。ドラマがそこにはあるんです。何故男はもう騙されるのは嫌だと思ったのかを表現するには、妻とその浮気相手が夫である男を殺して保険金を手に入れようと悪巧みをしているシーンを入れてます。 他にも、逮捕される時、自分をヒーローと信じている子供が声をかけてきたことを思い出すシーンを入れることによって男が、子供から信頼されていたことに対してどう考えているのかが伝わってくるし、隣の客を仮面をかぶっていると言って見下しているシーンを入れることで、今は人のことを信じることができなくなっているのだということが伝わってきます。 このような事柄を全てドラマで表現しています。台詞で「信じることが出来ない」とか「騙されるのはいやだ」とか「子供からの信頼を裏切ってしまい、いまだにどこかで後悔している」などのようなことを伝えようとしても伝わりません。芝居(ドラマ)で伝えた方がいいんです。ストーリーを伝えてもあまり面白くないので、そのうえに載っているドラマを作って、面白くしてください。伝わってきますから。 |
どうやってドラマにするのか |
東京ラブストーリーで、赤名リカがカンチのことを猛烈に好きだったのは覚えていますかね。そんなドラマがあったな〜。あのドラマで、第一話から二人が結ばれていたらドラマになりませんよね。そこで完結。ハッピーエンド。でも、ドラマとして続いていくのは、色んなすれ違いや、恋のライバルがでてきたり、カンチがリカを嫌いになってしまうことすらあって、いろんな障壁が発生するからです。しかも、それが困難であるほど面白い。最後はどうなったかはさておき、主人公のリカが、それらの障壁にぶつかり、悩み、もがき苦しみながら、カンチを追い求める姿に共感した人も多いんじゃないでしょうか。単純な話ですが、それがドラマにする方法です。障壁があったり、ぶつかり合ったりして人間性とかその人がどのように考えているのかとか、が見えてくるんです。こういう障壁は設定の時点であっても良いんです。金持ち貴族の娘と、貧乏平民の男との恋であるとかでもドラマになりますよね。見ている人がこうなって欲しいと思っていないほうへ話を持っていく感覚で、主人公を悩ませたり、壁にぶつけてやりましょう。 |
話に山と谷を作りましょう |
私も含めて、ドラマではホントよく人が死ぬんですよね。その時同じ死ぬにしても、全然悲しくない場合と、涙がボロボロ流れるほどの悲しさ・切なさのある場合とありませんか?前者は狙っているのなら成功ですが、話の流れからいって、お客さんを泣かせたいんだろうな、でもあまり悲しくないから泣けないというときが往々にしてあります。 一体どんな違いがあるんでしょう。それは、話に山とか谷とか盛り上げたり盛り下げたりする緩急がなかったり、話にメリハリがないんです。死ぬ人が例えば主人公の大親友で、よく遊んでいたけど死んでしまいました。普通だったら悲しいんですが、どれくらい親しかったのか。もっと言うと、見ているお客さんもこの人はなんていい人なんだ。と思うようなシーンを入れておかないと泣いてくれませんよ。死ぬ場合だけでなくても、後で登場人物の二人が結ばれるような話をメインの話として作っていこうと考えたなら、序盤のほうでは仲が悪くて、終盤で相当ひどい喧嘩をして、最後にはオチにふさわしいくらいのすごい事件があって、結ばれる。そんな風にして話を盛り上げていくことができるんですな。 |
構成の数は?起承転結? |
よく作文などで起承転結を意識して書きましょうと言われたものですが、脚本もこの例にもれません。起承転結というように四つの要素に分けて書く人もいるし、単純に三つ起・転・結で構成していく方法があるようです。書いていて二時間ものなどになると、最初の設計図がしっかりしていないとだらだらと無駄なシーンの連続が気がつくと二時間になっていた。。なんてことになることもよくあります。必要な部分だけで構成していくことを意識する時に、構成の数を意識するほうが良いのではないかと思います。起・転・結の三つの要素をさらに、『起』の部分で三つに分け、さらには長いシーンなどではとくに、ワンシーン単位内で起転結に分けるなどメリハリをもって構成を組んでいくと書きやすくなると思います。『この世の果て』というドラマのラストシーンは本編にあまり関係ないのですが、ドラマ的になっているので記憶を元に説明します。(だいぶ昔にみたので詳細は忘れてしまいました。。) とある画廊に迷い込んだ鈴木保奈美は「表の求人広告をみたんですが・・・。」と、一言。 初老の女主人は「あなたどこの美大を?」「画の経験は?」 首を横に振るばかりの保奈美 女主人「それじゃあ雇うことはできないわ。あなたの画を見分ける力を見せて頂戴。」 と、二つの画を並べる。 一つはこの世の果てのOPシーンの砂漠にかれた木の刺さった絵 もう一枚は静謐な味わいのある画 鈴木保奈美は砂漠の絵を指差す 沈黙の画廊 女主人「奥の絵は著名な画家の絵で時価数百万円のもの。そしてあなたが選んだその画はしがない美大生が描いた一円の価値もないもの。」 保奈美はかすかに笑うと 「お騒がせしました。失礼します。」 と部屋を立ち去ろうと出口へ 女主人「待って。」 と、振り返る保奈美 女主人「その美大生というのは、死んだ私の主人なの・・・。」 保奈美「・・・。」 女主人「あなたを採用させてもらうわ。」 以上 簡単なワンシーンですが、ドラマ的だなと思います。何もなければただのストーリーです。ドラマとは物理的精神的に何かが起こり、変化すること。このシーンでは保奈美が雇って欲しいと訪れることが『起』、価値の無い画を指差した『承』、実は女主人にとって価値のあるのはその画だった『転』、採用されることになる『結』。以上の四つが入っているようにもみえます。視聴者からはうまいと思われるだけですが、作り手からはこうしたことを意識しておもしろいと思わせる仕掛けを考えられるといいかもしれないですね。 保奈美が審美眼があって、はじめから値段の高い画を選択していたらドラマになりませんね。ドラマにするには逆逆を行かせるのが一番オーソドックスな作り方なんではないかと思いまっす。視聴者がどきどきするように女主人が回りくどく奥の絵の説明からはじめていたり、諦めて出て行こうとしたタイミングで美大生が自分の亭主だったことを告げたり、ドラマだからこそ必要な作り方なんではないかと思います。 |