プロ野球を社会科する/第5回

大きいことは、いいことですか?

〜ジャイアンツ分割論〜


「ジャイアンツ分割論」。うわあ、なんか過激なタイトルですねえ。巨人ファンのくせに何いい出すんだ!と、全国の巨人愛好家の皆さんに石投げられそうです。
でもほら、NTT分割論もあるくらいで。そっちの方は分割したほうがいいんだか悪いんだか、議論が複雑でぼくにはよくわからないんですが、ジャイアンツは分割したほうがいいと思うなあ、そろそろ。
だってですよ、巨人にのみ異様に集中している人気って、どこかイビツじゃないですか。北海道から沖縄まで、どこに行っても野球ファンと言えば、ほぼ巨人ファン。普通に考えれば12分の1のはずなのに、人気は軽く5割を突破している。どう考えてもヘンですよ。よく独占禁止法にひっかからないもんだ。
もちろん、これは読売グループの企業努力の成果です。というより、正力松太郎の個人努力と言うべきかもしれない。(「巨怪伝」という正力のすぐれた客観的伝記を読むと、この人の底知れぬエネルギーを思い知らされます)
で、今まではそれで良かった。わかりやすいですからね。野球という娯楽の入り口にデーンと巨人がいてくれたおかげで、誰でも野球の中にススッと入っていけた。WINDOWS95の使い方を知れば、パソコンを理解した気分になっちゃうようなものかな。
でもこれから、時代がどどどどどと動いていく中、このままじゃいけない気がします。巨人中心主義を変更しないと、ある日気づくと野球ビジネスは、ガラガラガラッとソ連みたいに崩壊しちゃうんじゃないでしょうか。おととしは球界に改革の兆しがみられたのに、巨人が優勝してみ〜んなその志を忘れちゃってる。でも何も変わったわけじゃないんだよ。マズイっすよこりゃ。
で、ジャイアンツ分割論。JRみたいにジャイアンツ北海道、ジャイアンツ東日本と地域分割する。なあんて、これは冗談ですけど。ジャイアンツ九州やジャイアンツ四国が赤字になっちゃいそうだし。
現実的なのは、二リーグ制なんかやめて、12球団で12どもえで戦うシステムにすること。巨人人気をセリーグで独り占めしないで12分割するんです。そうすることで、各球団にだんだんファンが根付いていく。この案はおととしの改革論議のときにも確か出たけど、セリーグの他球団の反対でポシャッたとか。巨人人気を分割すると、売上げが減るということらしい。その発想がセコいよねえ。そんなもんばっかアテにしてると、巨人がこけたらどうするの?野茂やイチローが新しい層を野球に振り向かせたみたいに、前向きに考えなきゃあ。
いま、いろんな分野で、古い概念が時代の波に洗われ、ボロボロと崩れようとしています。球界も「巨人中心主義」という古い概念を捨てないと、ヤバイっすよ。巨人ファンだからこそ、訴えたいんですけどねえ。誰も耳を傾けてはくれないんだろうなあ。


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