日本映画をぶっこわせ

イントロダクション


なぜぼくは日本映画をぶっこわしたくなったか

 

長い間忘れてたけど、ぼくは映画が大好きなんだった。10年前、コピーライターの仕事についてからすっかり忘れていた。でも学生時代は「おれ映画監督になるんじゃい」と菅原文太みたいに息巻いてた。ギョーカイに入ったときも「CM制作の仕事やってれば映画に近付けるんじゃないか」というモクロミがあった。ところが「最初はコピーを勉強せよ」という会社の方針でいやいやコピーライターになった。なったら面白かった。「コトバってすっげえ」とコーフンした。半年も経たないうちに「コピーライターはおれの天職だぜ」とかほざきはじめた。さらにしばらくしてCMの仕事も関わるようになって「あ、おれ絵が描けない」と気づいた。というわけで、「映画監督になるんじゃい」はいまはこれっぽちも考えてない。あはは。人間っていい加減なもんだ。

「天職」のコピーライターの仕事にはまってフリーにまでなって、さいきん映画のポスターの仕事をいくつかやった。ポスターの仕事をやると、当然宣伝の方々やプロデューサーなど映画界の人間と接触する。接触したら「ちょっと日本映画ってこんなことになってるわけ?」と驚いた。何にどう驚いたか。それをすべて言うと、職業倫理に反したり、ぼく個人が嫌われちゃったりしかねないので、すごーく大ざっぱに言うと、ビジネスになってない。ビジネスになってないのはもちろん原点として儲かってないからで、じゃあ仕方ないように思えるけど、いくら儲かってないからって、産業なんだからこういうこととああいうことくらいはそうしなきゃまずいっしょ、といいたくなる点がいっぱい見えてきた。こりゃいかんぜよ。ぼくがむかし焦がれて憧れた「日本映画界」って実体はこんな程度だったの?ショックだぜ。

そんな思いで、じゃあ日本映画をみなきゃ、とあまり脈絡無い義務感で邦画をみはじめたら、なによ、ちょっと、おもしろいじゃん。ぼくの学生時代より面白いよ。しかもブルータスが邦画特集やるなど世の中が日本映画に対して目を向けはじめた。夜明け前というか、トンネル抜けそうな感じというか。

そういうわけで、巨人の陰口書くのも飽きたし、いっちょ日本映画についてのページ、新設してみっか。てなわけでありました。

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